9月中旬に前回の焙煎豆が登場してから、割とすぐ10月中旬に新たなスモールロットシリーズが店頭に並びました。今回はメキシコ産の焙煎豆。こちらのコーヒー豆をご紹介します。
トレジョのスモールロットコーヒーとは?
2020年から本格的にはじまったトレジョの「スモールロットコーヒー」シリーズ。これは小規模なコーヒー園に焦点を絞り、現地農園と直に契約を結んで1年分のコーヒー豆の生産量をそっくり買い取るシステムのこと。
同じコーヒー園でもその収穫する年の天候などの条件によって味やクオリティーが変動するため、まさにシングルオリジンならではの一期一会の味わいを楽しめるのが大きな魅力です。2020年・2021年はほぼコンスタントにいろんな国のコーヒーが入荷されていましたが、2022年は物流の遅れと人手不足・インフラのせいか頻度が落ち、今回のコーヒー豆で4種類目となります。
ちなみにこれまで登場した産地は以下の通りです。メキシコ産は去年登場したチアパス州クステペック渓谷のコーヒー豆以来2度目となります。
- 2020年:ニカラグア・パプアニューギニア・ブラジル・ブルンジ・エルサルバドル・ウガンダ・ホンジュラス・ルワンダ・ベルー
- 2021年:エクアドル・タンザニア、カメルーン・パプアニューギニア・インドネシア(バリ島)・メキシコ・東ティモール共和国
- 2022年:ブラジル・ケニア・ドミニカ共和国・メキシコ
メキシコ・ベラクルス州のコーヒー!
今回登場したのが、メキシコ・ベラクルス州のフアトゥスコにあるラ・ラハコーヒー豆。アンティグア川によってもたらされた沃土に、標高1130-1250メールの木陰で栽培されたコーヒー豆です。1920年から続く家族経営の伝統的なコーヒー園で、チアパス州の小規模農家から購入したさまざまな種類のアラビカ豆を使っているのだとか。
赤道に近いメキシコはコーヒー栽培も盛んで、チアパス州・オアハカ州、そして今回フィーチャーされたベラクルース州が3大コーヒー産地として知られています。一般的にメキシコ産のコーヒーは、酸味が少なくバランスが良いとして知られています。
特徴はハニープロセス
今回のコーヒー豆の大きな特徴は、ハニープロセスであること。このハニープロセスとは、チェリーの皮を取り除き果肉は残した方法。発酵によって糖分の多いハチミツのようにねっとりとした果肉を残すことで、コーヒーにほのかな甘い香りが加わるのだそう。果肉を取り除いた後は、屋根付きのレイズドベッドで最長20日間乾燥させる工程が加わり、そこから焙煎されます。
通常コーヒーの果実はウォッシュドプロセスと呼ばれるコーヒーチェリーの皮と果肉を取り除いて、パーチメントまで洗浄した後、乾燥させる方法が主流ですが、水をたくさん使うため環境に優しいとは言えません。そのため、サステイナブルな面から、伝統的なナチュラルプロセスやハニープロセスを使った工程が近年見直されているのだとか。
パッケージの様子
今回のパッケージデザインはこのような感じ。エメラルドグリーンにちょっとレトロちっくなオレンジと、真っ赤な花が咲き誇る非常に派手なデザインが取り入れられています。明るく鮮やかな色使いはまさにメキシコそのもの。華やかなパッケージに気分も明るくなりそうです。
サイド部分はこのような感じ。薔薇のほかに、カラフルな大きな花が複数描かれています。
素材はアルミ製で、正面上部端部分にワイヤーがついており、くるくると丸めて保管する昔ながらのスタイルです。窒素充填パック加工で、100%アラビカのホールビーンを使用。焙煎はミディアム・ロースト、内容量は340g・お値段は前回と変わらずUSD9.99。今回初めて正面ラベルにコーシャ食品の種類を示すパラベのラベルが追加されています。
開封レビュー
それでは早速封を開けてみます。今回香りの立ちがあまり無いように感じます。パウチに鼻を近づけると焙煎豆の香りがしますが、それほど強くは感じません。ノートにチェリーとブラウンシュガーと記載されていますが、確かに深みのあるチェリーのような香りがします。
焙煎豆の様子。前回と同じように、しっかりと焙煎されており深い色をしています。特徴的なのが、ピカピカした光沢感。ただ均等にコーティングされているわけではなく、まだらに入った感じ。珍しくカケの入ったビーンズが少なくチャフもなく焙煎具合も均等です。
フレンチプレスとハンドドリップで抽出して比較!
それではここからは、フレンチプレスとハンドドリップの2種類の抽出方法で味を検証します。
フレンチプレス
まずはフレンチプレス。粗めにグラインドした後、5分抽出します。17gの豆に対して200℉(93℃)のお湯を200ml入れ、1分後に攪拌。4分後にプレスしてマグカップに注ぎます。お湯を注いだ直後の様子がこちら。あまり豆の膨らみは感じません。
ハンドドリップ
続いてはハンド・ドリップ。10gの豆を中細挽きでグラインドしたあと、湿らせた紙フィルターに入れます。一旦蒸らしたあと200Fのお湯でドリップし、200ml分のコーヒーを抽出します。 同じく蒸らした際の焙煎豆の膨らみはあまりありません。
味の感想
フレンチプレス
表面の油浮きで分かるほど、濃厚な味わいです。ハンドドリップほどの酸っぱさは感じませんが、苦味と共に雑味も少々感じます。フィルターがない分、シングルオリジンならではの野生的な荒々しさとコクが融合した個性的な味わいです。
ハンドドリップ
飲んでまず感じるのが、独特の苦さ。後味にしっかり残るほどビターです。加えて程よい酸味と共にユニークな繊維質の香りとコクを感じます。ブラウンシュガーと表現されているのはおそらくこれ。ほかにハニープロセスのドリップコーヒーを飲んだことがないため、これがその特性となる味なのかは判別不明。酸味加減はハワイ島のコナコーヒーに似ていますが、苦みは断然こちらが強いです。フィルターの場合、苦いけれどコクが少なく、ストレートで飲むには豆の量を少し減らした方が飲みやすいかもしれないと感じました。
最後に
10月に中旬に登場したメキシコ・ベラクルーズ産の焙煎豆をご紹介しました。全体的に焙煎の具合は今回の豆は苦さを感じました。個人的にはフィルターを使わないフレンチプレスがより、このユニーク且つ複雑なコクと味わいを楽しめると感じます。決して飲みやすいマイルドな味わいではありませんが、これがまさにシングルオリジンの醍醐味。気になる方は、店頭でぜひ手に取ってみてください。