毎年6月になるとレインボーの鮮やかな色が市内中をカラフルに染めるサンフランシスコ、2023年2月にカリフォルニア州の非常事態宣言「COVID-19」が正式に終了し、初めてとなったプライドイベントの様子をレポートします。
6月23日(金曜日)
結婚式イベント
サンフランシスコのLGBTQ+の歴史と文化を祝う祝祭の中で、250組のカップルが結婚を行うイベントが市庁舎で開催されました。この日に結婚したカップルは、記念のプライド婚姻許可証とプライド・ピンを受け取り、市庁舎のノース・ライト・コートに設けられたフォトブースで記念撮影を行うことができます。セレモニーは午前9時から午後3時30分まで行われ、一般の観客も見学が可能となる中、たくさんのカップルが誓いの儀式を行いました。今年は2004年にサンフランシスコ市庁舎で初の同性結婚が行われてから20年記念の年となり、この日に結婚の宣誓式を行える枠を大幅に増やしたことで実現したイベントとなります
250組の結婚式ということで気になって、午後3時すぎに市庁舎に出向いてみました。以前の記事でもご紹介した市庁舎、プライド月間とあってレインボーの旗がなびいています。目の前の広場は翌日に開催される大型イベントに向けて、会場のセッティングが行われています。視聴者の中にある撮影スポット、大広間の階段は以前訪れたときの10倍ほどの人で混雑していました。同性婚のカップルが多いと思いきや、意外と若い異性カップルが多い印象です。
こちらが、ノース・ライト・コートの様子。レインボーのバナーが飾られたデスクが設置されており、ここで手続きと行なった後、レインボーバルーンでできたアーチの下で宣誓式ができるような動線が組まれています。とにかくどのカップルも大広間の階段で写真を撮るのに忙しく、いつもの静かな市庁舎がちょっとした集会のような雰囲気に変わっていました。
トランス・マーチ・ステージ&パフォーマンス
市庁舎から徒歩で約20分ほどの距離にあるミッション・ドロレス公園で、金曜日午後に開催されたのがトランスジェンダーのお祭り。毎年恒例のお祭りは、3時からさまざまな催しと同時にイベントのブースなどが立ち並び大賑わいとなっています。ミッション地区にあるこの公園は、高台からの眺めもよく市民の憩いの場として親しまれていますが、今年は数千人もの参加者が会場に出向き、多くの人手で賑わった午後になりました。
このトランスジェンダーを象徴するピンクとブルーの旗は、今年は特に日曜日のパレードでも良く見かけた印象です。パフォーマンスの後、6時あたりから公園を出てダウンタウンまでマーチを行うのがこのトランスイベントの慣わしです。
6月24日(土曜日)
プライドウィークエンドの本格的な幕開けとなった土曜日、市庁舎の前から続く広場では大規模なフェスティバルが行われました。2022年と同じように、屋外会場に入るために荷物検査が行われますが、今年は荷物を持って立ち入ることが禁止されており、入場許可される手荷物は小さなポシェット、もしくは透明なバッグのみ。来年参加される方は、荷物を持たずに行かれることをおすすめします。
規模的には去年より広く、市庁舎前のメインステージのほかにも、小さなステージが数ヶ所設けられています。それぞれの場所でパフォーマンスや音楽を楽しむ工夫がされており、より長時間楽しめる印象です。また広場中央部分には市庁舎をバッグにPRIDEと書かれたオブジェが設置されており、ここが人気の撮影スポットとなっていました。
こちらが市庁舎前のメインステージの様子。大掛かりなセットと演出で、多くの人がパフォーマンスを楽しんでいます。
こちらが会場の端に設置されている特設ステージ。こちらはこじんまりとしたアットホームな印象。このように入場者は、音楽を楽しんだりピクニックをしたり、屋台で食事をしたりとそれぞれ気ままに好きな場所で好きな時間を過ごすことができます。
6月25日(日曜日)
サンフランシスコプライドパレードの目玉となるのが、日曜日のパレードです。今年は風が強く、曇の天候の肌寒い午後となりました。日曜日は約50万人がサンフランシスコを訪れると報道されていましたが、確かに道脇で見る群衆の数が多い印象です。画像はパレードのほぼゴール地点であるシビックセンターの手前の様子。
プライドをお祝いするカラフルなパレード、今年は約2万5,000人が参加したとされています。華やかで楽しいパレードですが、グループとグループの間のギャップがところどころ大きく空いており、待ち時間を長く感じる箇所も。
こちらは、サンフランシスコで今年初めからサービスを始めたハイテク無人タクシーサービスを提供するクルーズ。この無人タクシー、筆者も乗車しようと思いつつまだ果たせていません。そのうちに乗った際にはレポートします。今年も去年と同じようにアマゾン、GoogleやMetaなどのIT企業グループから、学校やコミュニティーまでさまざまなグループが登場しました。
プライド月間に欠かせないのが、レインボーのフラッグですが、今年は上の画像のような改正版のデザインをより多く見かけました。この旗は、オレゴン州ポートランドを拠点とするアーティスト、ダニエル・クエーサーによって2018年にデザインされたもので、有色人種を表す黒と茶色のストライプに加え、トランスプライドの旗にちなんだピンク、白、青のストライプが入ったインクルーシブさを表現しています。今後はこれまで定番だったレインボーから、こちらのデザインに移行していくものと感じます。
最後に
2023年、サンフランシスコのプライド月間の様子をお伝えしました。ちなみにこのブログにも度々登場しているIKEAの親会社リバッットセンターのメインエントランス前は、この週末直前にレインボーの模様が歩道に加えられ「誰でも歓迎・もうすぐ開店します」とのメッセージが!ハイブリッド通勤や治安の悪化で人離れが進んでいるサンフランシスコダウンタウン、誰もが待ち望むオープンに向けた明るいメッセージとなりました。