アメリカで寿司の食文化はすっかり定着しており、サンフランシスコでは特にスーパーでもパック入りお寿司が買えるほど浸透しています。その寿司が進化し、去年あたりからブームとなっているハンドロールを専門に扱う人気のレストランをご紹介します。
今、サンフランシスコでホットなのがハンドロール!
今サンフランシスコで人気なのが、お寿司の進化系となるハンドロール。お寿司との違いは、和食屋さんのようにお箸を使ってかしこまって食べるのではなく、カジュアルに手でいただける敷居の低さ、そして一貫して魚の生臭さとワサビが苦手なアメリカ人にカスタマイズして作られたメニュー構成にあります。このレストランを手がけるのが、ミシュランの星付き高級おまかせ寿司レストラン「Ju-Ni」のチームで、エクゼクティブシェフのジェフリー・リーとパートナーのタン・チュオン。2022年7月にオープンし、全米初のハンドロールを専門にしたレストランとして、話題となりました。ちなみに、この2人は以前ご紹介した人気レストラン焼き鳥ヒナも手がけています。
ハンドロールプロジェクトの場所とアクセス方法
ハンドロールプロジェクトは、サンフランシスコでもヒップなエリアとして知られるミッション地区にあります。おそらくサンフランシスコで最も有名なベーカリー、タルティーンベーカリーの通り向かいにあり、ミッション地区を散策するのにも、景観に優れたミッションドロレス公園に行くにも便利な距離です。常に人通りの多いエリアなので、日中であればひとりで散策しても特に問題はありません。夜の場合は、人通りの多い道を選んで歩きましょう。
またミッション地区までのアクセス方法ですが、ユニオンスクエアからは南行き地下鉄全線に乗って、16番通りとミッション通りで下車する方法がおすすめです。下車したらそのまま18番通りまで歩いて右折し、2ブロック歩いてグエレロ通りを渡るとすぐ右手にレストランがあります。移動時間は約15分程度です。
外観の様子
18番通りをはさんでタルティーンベーカリーの通り向かいにあるハンドロール・プロジェクト。グレーのレンガにショッキングピンクのフレームが使われた斬新な見た目です。壁一面に貼られた窓が18番通りとグエレロ通りから光を店内に差し込んでいます。丸いフレームの看板が、通りの角に控えめに付けられていますが、パッと見た感じではレストランとは分からないような外観です。
内観と店内の様子
メインエントランスからみた店内の様子。白い壁に白い大理石のカウンターが両端に置かれたレイアウトで、奥に小さなキッチンがあります。カウンターの中には2〜3人のハンドロールのシェフがいて、オーダーしたロールを順々に作ってもらえます。
こちらが正面から見て左側のカウンターの方。左奥にトイレ、正面奥にあるカウンター奥がキッチンとなります。スペース的にはこぢんまりとしていて、それぞれのカウンターに8人座ると満席になります。
テーブルを排除し、大きなカウンターをふたつも導入したことで、飲食スペースが限られていますが、サンフランシスコで人気のおまかせお寿司を提供するレストランを彷彿させるレイアウトです。ただ全体的に和の要素は全くなく、サンフランシスコらしいミニマルな装飾が施されています。
メニューとオーダーしたもの
メニューは紙一枚のシンプルなタイプで、カウンターに座ると持ってきてもらえます。構成もシンプルで、前菜、コース、アラカルテ、スペシャルの4つのみ。まさにハンドロールを全面に押し出したメニュー構成です。アルコールドリンクのメニューが豊富にあり、カクテルを飲みながら楽しむ人が多く、おしゃれにダイニングを楽しみたい方にも向いています。今回は7ピースセットにスペシャルの中からいくら&あん肝をオーダーしました。
ちなみにどのハンドロールにもわさびは付いておらず、欲しい方はあらかじめ別料金で注文を行う形式になります。
食べるまでの流れですが、カウンターの中にハンドロールを作るスタッフがおり、できると同時にカウンターの上に置かれた木製のロール台に置いてもらえます。そのままロールを握って、自分の取り皿に置いて頂くスタイルです。まず最初に登場したのが、サーモン&ゴマ。甘辛いソースが使われており、サーモンの上に鰹節が乗っています。海苔の風味が良く、ご飯の硬さもちょうど良い塩梅で、さすが高級寿司レストランの姉妹店と言ったこだわりを感じます。
続いては、スパイシーツナ。ポケ丼で人気の具が使われており、上にオニオンフライがトッピングされています。こちらも甘辛いシラチャのようなソースが使われていますが、辛さは強くなく紫蘇が爽やかで食べやすい一本です。
3つ目はスパイシー蟹。おそらくソースは同じもので、ツナの代わりに贅沢な量の蟹が使われています。新鮮な蟹は良質で、旨みがしっかりと感じられます。これはワサビがあったらもっとおいしかった気がします。
続いて登場したのが、燻製はまち。こちらに関しては、特に燻製のようなスモーキーさは感じられず、よくあるソースでマリネした手巻き寿司といった感じ。それぞれのソースの味が濃いため、ここまでくると味覚が麻痺してきて、どれも同じように感じてきます。
1番見栄えが良かったのが、シェフ特製ポケ。緑と赤のコントラストが非常に映える一本です。イクラの旨みが引き立つように作られています。ちなみにここのすし飯には、お酢が使われていません。
こちらがクリーミーホタテ。おそらくホタテにマヨネーズ系のソースを使ってマリネしたもの。ソースにとびこが使われており、プチプチとした食感が新鮮です。紫蘇が入っており、重めのソースに良いアクセントとなっています。
7ピースコースの最後を飾るのが、トロたくあん。トロのたたきに細かく刻まれたたくあんが混ぜてあります。濃厚なトロと食感の良いたくあん、意外ですが相性が良い組み合わせです。
そして最後にオーダーしたスペシャルメニューは、具材をのせた後に凍らせたあん肝をシェーブしてのせるというパフォーマンス付き。画像を見ても分かるように、寿司を作るスタッフは一貫してカジュアルで、もはや寿司職人ではなくパフォーマーと言った感じです。特別な修行を積んだような厳格な風格は全くなく、至ってカジュアル。だけどおいしい具材が贅沢に使われており、まさにアメリカナイズされた斬新なお寿司を体験できる場所だと感じます。
こちらが最後に登場したいくらあん肝。凍らせたあん肝がたっぷりとトッピングされたロールは、冷たい食感がまさに斬新。まさに食のエンターテイメントと言った一本です。
最後に
サンフランシスコで今予約が最も取りにくいレストランのひとつとされる「ハンドロール・プロジェクト」。具材それぞれが新鮮で、和食のお寿司というカテゴリーを外して考えると、確かにおいしくいただけます。以前ご紹介した小さな寿司クラブは、エリック・アプリンならではの経験とスキルが活かされた感じでしたが、こちらはまさに気軽に食べられるカジュアルだけど良質なお寿司と言ったところ。新たな進化系のアメリカのお寿司を体験してみたい人は、ぜひ一度足を運んでみてくださいね♪
店舗情報
- Hand Roll Project
- 住所:598 Guerrero St, San Francisco, CA 94110
- 営業時間:4–9 PM (月火定休)