ガラタ橋の麓にあり、イスタンブールの新市街と旧市街と結ぶ場所にある「イェニ・ジャーミィ(新モスク)」、ブルーモスクと同等の美しさを誇る内観を持ちますが、観光客が少なく待ち時間がないため穴場スポットとしておすすめです。
イェニ・ジャーミィの歴史
新モスクの名称で知られるイェニ・ジャーミィは、1663年に建てられたオスマン・トルコ時代の歴史的建造物になります。オスマン帝国時代のムラト3世の妻であり、スルタン・メフメット3世の母であるサーフィエ・スルタンによって1598年に工事が始められましたが、何度も工事の中断があり完成したのは実に半世紀後の1663年という歴史を持ちます。
エミノヌ広場、ガラタ橋の終点、エジプシャン・スパイス・バザールの近くという立地の良い場所にあり、また、大きくそびえ立つドームと広い中庭を持つモスクは、オスマン・トルコ建築の素晴らしさを示す代表的な建造物としてぜひチェックしたいスポット。ガラタ橋から見る旧市街地の景観に欠かせない、アイコン的存在です。
礼拝堂までのアクセス方法
旧市街・ガラタ橋からほぼ直線上にあるモスクは、エミノヌ広場からアクセスができます。まずモスクの北西部分に、ウドゥと呼ばれる手足を清める洗い場があるので、こちらを目指しましょう。このウドゥは、手、口、鼻、顔、腕、髪の毛、耳、足の順に身体の部位をそれぞれ3回ずつ洗浄し、「手」や「腕」、「耳」や「足」など対のものは「右」から先に洗うのがしきたりとされています。
この洗い場のすぐ手前に中庭に続く階段があります。ここを登って中庭に入ったら、あとは矢印部分にあるエントランスから礼拝所にアクセスが可能です。礼拝所では他のモスクと同じく、肩や足、女性は髪の毛を露出しない服装が必須です。
イェニ・ジャーミィの見どころ
まず中庭の見どころをご紹介します。ここでは、一辺が39メートル(128フィート)あり、24の小さなドームで覆われた列柱式のペリ・スタイル様式を楽しみましょう。暖色が多く使われた内装と対照的に、青いイズニック・タイルで装飾された爽やかな雰囲気です。中央にはシャディルヴァンと呼ばれるタイプの噴水があり、この噴水はその繊細な見た目から、トルコ芸術の宝石とも言われています。また中庭からは、ドームの左右に聳える2本のミナレットを仰ぐこともできます。
内部の様子がこちら。中は一辺が41メートルある正方形の形をした、広い礼拝堂となっています。中央部分は、ドームを支える4本の大きな桟橋で区切られており、中央のエリアの両側と後方には、細長い大理石の列柱 が、様々な様式のアーチで結ばれています。
個人的には、自分が訪れたイスタンブールのモスクの内装の中で、最も美しいと思ったのがこのイェニ・ジャーミィです。全体的にパステルカラーの優しい色調のタイルアートが品よくまとまっており、ブルーモスクほどの鮮やかな派手さはないものの、優しい華やかさに包まれた空間を楽しめます。
こちらがイェニ・ジャーミィのメインドーム。メインドームの高さは36メートル(118フィート)、直径は17.5メートル(57フィート)で、セミドームに囲まれています。白の大理石を基調に、くすみ緑と朱色の色合いが印象的です。他の多くのオスマン帝国時代のモスクと同様、ドームを支える柱とドームの接する4つの角には、アブ・バクル、ウマル、ウスマン、アリという最初の4人のカリファーの名前が書かれた黒色のカリグラフィック・プレートが飾られています。
内部空間は、建物の東西の軸に沿って半ドームが広がり、身廊の各角の上には小さなドームが、回廊の角の上にはさらに小さなドームがあります。青、緑、白のイズニック・タイルの細かな装飾が、とにかく見事で目を奪われます。個人的にこの柔らかい印象を醸し出すのは、白い大理石が多く使われているからなのでは、と感じます。この白い大理石・ミンバー・真珠細工の窓カバーは、繊細な芸術作品とみなされており、見逃せない見どころです。
繊細なタイルのひとつをクロースアップした様子。薄黄色の下地に青色の花の模様が描かれたタイルは、16世紀にシリアで使われたダマスカスタイルにも非常に似通っています。こちらの礼拝堂は中に入る際に列を作ることもなく、礼拝堂の中も混んでおらず、繊細なタイルアートが広がる贅沢な空間を、ゆっくりと満喫できる穴場としておすすめです。
中庭を出てモスクの階段上から広場を見下ろした様子。広場を横切ってすぐの場所にエジプト・バザールがあるのが分かります。こちらは、スパイスを測りで買える市場で、モスク観光の後は、ぜひ立ち寄りたい観光スポットです。
エジプトバザール内では、色とりどりのエキゾチックなスパイスはもちろん、装飾品やバクラバなどのトルコ定番のお土産を購入できます。グランドバザールとは、また違った香りやディスプレイ、雰囲気などを楽しめますよ。
最後に
今回ご紹介したイェニ・ジャーミィは、ブルーモスクやアヤソフィアとはまた違ったどちらかというと女性的で優しい雰囲気が見どころです。エジプトバザールやガラタ橋からすぐの距離なので、スタンブールの旧市街散策コースにぜひ加えてみてください♪
スポット情報
- Yeni Cami Mosque
- 住所:Rüstem Paşa, Yeni Cami Cd. No:3, 34116 Fatih/İstanbul, Türkiye
- 営業時間:
- 入場料:無料