以前ご紹介した「ステートバード・プロビジョンズ」の姉妹店として知られ、2025年ジェームズ・ビアード賞の最優秀レストラン経営者部門のファイナリストにも選ばれた、サンフランシスコの人気レストラン「プログレス」。今回は、その注目のレストラン「プログレス」の魅力をご紹介します。
人気レストラン「ステートバード」の姉妹店

以前ご紹介した人気カリフォルニア料理レストラン「State Bird Provision」のすぐ隣に位置する姉妹店が「The Progress(ザ・プログレス)」です。「ステートバード」は、ミシュラン一つ星を獲得し、「世界のベストレストラン10選」にも選ばれるなど、独創的な料理とユニークなスタイルで高い評価を受けている名店。
一方、「プログレス」は同じオーナーシェフによるレストランで、食材や空間づくりにこだわった洗練されたダイニング体験が楽しめると評判です。
ステートバードが小規模で活気にあふれ、オープンキッチンのライブ感を味わえるのに対し、プログレスは吹き抜けのあるスタイリッシュで落ち着いた空間が特徴。どちらも予約困難な人気店でありながら、それぞれに異なる魅力を持っています。
レストランの外観

フィルモア通り沿いに位置するレストランの外観は、グレーを基調とした落ち着いた印象です。「State Bird Provisions」の真隣にある「The Progress」は、同じ建物内にあり、統一感のある色使いが特徴的です。プログレスの目印となるのは、白いタイルで仕上げた看板と、黄色のフレームが印象的なプラントスタンド。どちらの店舗も、無駄のないシンプルでミニマルな外観が魅力で、通りに自然に馴染んでいます。
レストランの内装

メインエントランスを入ると、まず最初にチェックイン用のスタンドが設けられています。そこから左手に進むと、奥行きのあるダイニングエリアへとつながります。
入口付近には、重厚感のある細長い木製のバーカウンターが設置されており、その奥に落ち着いた雰囲気のダイニングスペースが広がります。

メインのダイニングエリアは、木の温もりを感じる吹き抜けの空間が印象的。室内には多くの観葉植物がバランスよく配置されており、洗練された中にも落ち着きのある雰囲気が漂います。開放感のある空間で、ゆっくりと食事が楽しめるスタイリッシュな内装です。

ダイニングエリアの最奥にはオープンキッチンが設けられており、シェフたちが手際よく調理を進める様子を間近に見ることができます。
メニューとオーダーしたもの

メニューはカラー印刷された紙製で、テーブルに着くとスタッフが持ってきてくれます。「ステートバード・プロビジョンズ」と同様に、シェアを前提にデザインされた構成になっており、内容は大きく4つのセクションに分かれています。ベジタブル、アペタイザー、シーフード、肉料理のカテゴリーから好みに応じて選ぶスタイルで、それぞれの料理はテーブルでシェアしやすいボリューム感で提供されます。今回はベジタブルから4品、アペタイザーから1品、そしてシーフードと肉料理からそれぞれ一品ずつオーダーしてみました。

最初に登場したのは、アペタイザーセクションからの一品「リバードッグ農園のピッグヘッド」。このレストランでは食品廃棄ゼロを理念として掲げており、この料理もその精神を反映したものです。豚の頭の残った部位の肉を丁寧に削ぎ取り、ハムのように加工しています。
薄くスライスされた肉は、ややクセのあるプロシュートのような風味が特徴で、塩味はしっかりと強め。下に敷かれたフェンネルサラダと一緒にいただくことで、さっぱりとしたバランスのとれた味わいになります。

続いて登場したのは、「ヒカリ農園のスパイシーきゅうりサラダ」。ごまダレのようなコクのあるソースに、ピリッと辛いチリクリスプがトッピングされています。まるで日本のきゅうりのようなパリパリとした歯ごたえと、香ばしいごま風味のソースの組み合わせは、安定のおいしさです。

「バックチョイとクリスピー豆腐のサラダ」は、アボカド、ベトナムバジル、ミントの組み合わせが印象的で、一口ごとに爽やかな香りが広がる一品。カリッとした豆腐の食感と、みずみずしい野菜のコントラストも楽しめます。

「モレル茸とブルックス・チェリーのタヒニ和え」は、今回特に印象に残った一皿。肉厚なモレル茸の濃厚な旨みと独特の食感に、ブルックス・チェリーのほどよい酸味がアクセントとして加わり、そこにコクのあるタヒニソースと、中東発祥の香草とスパイスを使ったピリ辛ペースト「ランプ・ズホグ」が重なることで、これまでにない斬新な味のバランスが生まれています。甘み・酸味・旨み・辛味が一体となった、今回もっとも美味しかった一品です。

「新ジャガイモとポルチーニ」は、ホクホクとした新ジャガイモの優しい食感に、ポルチーニならではの深い旨みが重なり、そこに加わるアグレッティのほのかな苦みが全体の味を引き締める、バランスの取れた一品。

シーフードカテゴリーから選んだのは、「アラスカヒラメの炭火焼き」。身が引き締まった肉厚のアラスカヒラメに、メンドシーノ産の海苔を使ったタルタルソースを組み合わせていただきます。素材の良さは感じられる一皿でしたが、正直なところ、味わいは想像の範囲内にとどまり、印象としてはやや控えめと言った感想。

最後に登場したのは、看板メニューともいえる「リバティー農園のBBQ鴨」。ほとんどのテーブルで注文されている様子からも、その人気の高さがうかがえます。丸く円状に美しく盛りつけられた鴨肉は、見た目にもインパクトがあり、登場した瞬間に思わず目を引かれます。弾力のある歯ごたえと、しっかりとした味付けの鴨肉は、そのままでも十分に美味ですが、中央のピーナッツ炒飯と一緒にいただくことで、香ばしさとコクが加わり、より深い味わいが楽しめます。

デザートメニューは小さな紙に印刷されており、食事が終わるタイミングで提供されます。メニューは全5種類。

「サフラン・エンジェルフードケーキのメイヤーレモンのフレッシュクリーム添え」は、濃厚な蜂蜜バニラのカラメルソースがたっぷりとかけられた一品。ケーキ自体は軽やかで、ふんわりとした食感が魅力的ですが、蜂蜜の風味がやや強めで、サフランの香りは控えめに感じられました。

意外と美味しかったのが、「ココアオールドファッションドーナツ」。味自体に特別な斬新さはないものの、ドーナツのサクサクとした食感と、添えられた苺の爽やかな酸味とのバランスが絶妙です。
最後に
今回は、サンフランシスコで人気のカリフォルニア料理レストラン「The Progress(プログレス)」をご紹介しました。多彩な料理をシェアスタイルで楽しめるため、グループでの食事にぴったりの一軒です。「State Bird Provisions」と同様に、食材のユニークな組み合わせや、想像を超える味わいが魅力。洗練された雰囲気の店内は、ちょっと特別な日やお祝いの食事にもおすすめです。
店舗情報
- The Progress
住所:1525 Fillmore St, San Francisco, CA 94115 - 営業時間:5:30-10PM