【サンフランシスコ・トレンド】SF発人気アーティストFnnchのポップアップ個展が開催!

サンフランシスコを拠点に活動するストリートアーティスト fnnch(フィンチ)。ステンシルとスプレーペイントを駆使し、ポップアート風で色鮮やかな作品を数多く手がけてきました。その壁画は市内の至るところで目にすることができます。2025年8月、彼の代表作である「ハニーベア」をテーマにした個展が、サンフランシスコを象徴する歴史的建築で開催されています。

フィンチとは?

2020年のパンデミックをきっかけに一躍有名になったストリートアーティスト、フィンチ。
「現代美術館に足を運ぶのは都市人口のわずか5%。残りの95%の人々にこそアートを届けたい」という信念を持ち、日常生活の中にアートを浸透させることを目指す匿名アーティストです。

スタンフォード大学を卒業後、2015年頃から活動をスタート。郵便ポストや電柱に貼る小さなステッカーから始まり、2020年のコロナ禍では外出規制を逆手にとって「ハニーベア探し」をオンラインで企画しました。寄付つきのキットを2万点以上販売し、その活動が大きな話題となり一気に知名度を高めました。

彼の明るくポップな色彩とアニメーションのようなタッチで描かれた壁画は、サンフランシスコ市民にとってすっかり身近な存在となっています。公園や建物の壁など、街の至るところでその姿を目にすることができます。

ポップアップ「Fnnchミュージアム」を開催!

サンフランシスコで高い知名度を誇るフィンチは、2025年8月、人気ドラマ『フルハウス』で知られるアラモスクエアのヴィクトリア様式の邸宅にて、無料のポップアップ個展を開催しました。入館料はかかりませんが、参加には事前のオンライン登録が必要となっています。

ポップアップイベントの会場となるのは、アラモスクエア北側のスタイナー通り沿いに立つ、通称「ペインテッドレディー」と呼ばれる7軒のヴィクトリア様式住宅のうち、右から3番目の家。2階の窓に掲げられたフィンチのポスターが目印。サンフランシスコを代表するランドマークのひとつであるこのカラフルな邸宅での個展は、「中はどうなっているのだろう?」という長年の好奇心を満たしてくれる貴重な機会にもなっています。

フィンチ美術館のレポート

筆者が訪れたのは、8月中旬の日曜日の午後2時頃。正面玄関の前にはすでに行列ができており、その人気ぶりがうかがえました。玄関へと続く階段の上には係員が2名待機しており、ここで予約確認用のQRコードを提示すると入場できます。

正面エントランスを入ると、まず目に入るのが奥へと伸びる廊下と、2階へ続く木製の階段。内装らしい装飾はほとんどなく、空間はとても簡素で殺風景な印象。左手の壁には、この建物に関する説明パネルが掲示されています。

この説明によると、この家が建設されたのが、1895年。2020年1月、ポッドキャストアプリ「Breaker」の共同創業者で元CTOのリア・カルバーが355万ドルで購入し、リノベーションを試みましたが、さまざまな事情から計画は断念。そしてその彼女の夫がなんとこのストリートアーティスト フィンチ だということ。現在この家は売りに出されていますが、まだ買い手は見つかっていないようです。

興味深いのは、このポップアップ個展の発想の源が日本にあったという点です。夫妻が日本を訪れた際、香川県にあり「アートの島」として知られる直島で小規模の個展をいくつか見学し、その体験が今回のイベント構想につながっているよう。このパネルだけでも、かなりの情報量です。

エントランスから右手に広がる大きなリビングには、フィンチの個展スペースが設けられています。両側の壁一面にハニーベアの作品がずらりと並び、その数はなんと116点。10年あまりの作品が全て集結しています。

年を重ねるごとに増えていったハニーベアシリーズは、年代順にわかりやすく展示されています。解説パネルはなんと250枚にものぼり、すべてフィンチ本人が手がけたものだそう。ひとつひとつ順に眺めていくと、懐かしい作品が次々と現れ、パンデミック期に盛り上がった「ハニーベア探し」の思い出が蘇ってきます。

パンデミック時にサンフランシスコでバズったハニーベア探しのパネルや情報も、当然ながらしっかり展示されています。

ちなみに一番新しい作品が、こちら。2024年11月のカメラと選挙のハニーベアの後、2025年にリリースされたのが、透明ベアなんだそう。

展示スペースの一番奥にある窓からの眺めも、この個展の大きな見どころのひとつです。眼下には裏庭が広がり、その向こうにはセールスフォースタワーをはじめとするサンフランシスコの高層ビル群がそびえ立っています。正面にはアラモスクエアの緑、反対側には都会的なスカイライン——このコントラストを同時に楽しめる立地は、まさに贅沢そのものです。

空間は意外にも細長い造りで、高級住宅地のランドマークでありながらも、都心らしいコンパクトさが感じられます。天井の照明部分にあしらわれたメダリオンが、この家の長い歴史をさりげなく物語っています。

正面エントランスを出ると、目の前にあるのがアラモスクエア。ハニーベア鑑賞のあとは、ぜひこちらに立ち寄って緑と景色を満喫しましょう。

最後に

2025年8月現在開催されているフィンチのポップアップ個展の様子をレポートしました。こちらは今年10月まで開催予定。興味のある方は、こちらのサイトからRSVPを行ってください。

イベント情報

  • fnnch museum
  • 住所:714 Steiner Street, San Francisco, CA 94117
  • 時間:12-5pm

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