華やかな葉の模様とハンギンググリーン「トラディスカンティア」。ラベンダーを含め種類が多く増やすのも簡単なので観葉植物として非常に人気です。今回は筆者が自宅で育てているトラディスカンティアの15種類の増やし方や育て方、花の様子などをご紹介します。(updated on Oct 13 2023 & April 8 2024)
トラディスカンティアとは?
カリブ海・メキシコ・南アメリカに自生するツユクサ科の多年草です。茎が太く細長い葉を持ち、環境に強いため育てやすく初心者に向いています。品種は約70種類あると言われ、葉の部分に白い綿のようなもので覆われていたり、鮮やかなピンクだったりとそれぞれ種類によって大きく異なります。
トラディスカンティアの育て方
トラディスカンティアは、一般的に湿気の少ない暖かい環境、特に直射日光を避けた明るい場所を好みます。明るい窓付近が理想ですが、乾燥していたり日差しが強すぎる場合は葉っぱがパリパリに枯れてしまいます。筆者の経験だと、そこまで明るい場所でなくても日中に自然光が入ってくる条件であれば、発育します。
元々、原産地がカリブ海、メキシコ、南アメリカ付近なので、18℃〜24℃が最適な環境となります。また根腐れし難いため、水やりはそこまで神経質になる必要もありません。用土が乾いた時点で、水やりを行いましょう。伸びすぎた場合は、見た目が悪くなるので伸び過ぎた部分を暫定します。一貫して環境に合うと、それほどお世話に気を遣わなくてもしっかりと育ちます。
トラディスカンティアの増やし方
茎を切り、節の部分をそのまま土に刺すだけで簡単に増やすことができます。水挿しの場合は、節の部分が水に浸かっているのを確認しましょう。2週間程度すると節の部分から新しい根が伸びてきます。ある程度根が伸びたら、あとは乾燥気味の用土に植えれば、簡単に根付いて新葉を伸ばしてくれます。比較的に根が簡単に出るので、増やすのに向いています。
長く伸びて見事なトレイルを作りますが、暫定せずに伸ばしっぱなしにすると根本部分の葉が茶色に変色していきます。時々先端の新葉の部分を切り取り新しい鉢に植え替えると、新鮮な見た目を持続できます。
トラディスカンティアの種類
ここからは、筆者が育てたことのあるトラディスカンティアの種類をご紹介します。
1. スタンダード・グリーンヒル (Tradescantia Standard Green Hill)
まずご紹介するのが班のない真緑のトラディスカンティア。「スタンダードグリーンヒル」という愛称で親しまれています。北カリフォルニアであれば、いろんなところに自生しています。真緑で爽やかな見た目が特徴ですが、大きさにもバラエティーがあります。
トラディスカンティアの花は3つの花びらに分かれており、一貫して小さく儚い見た目をしています。このスタンダードグリーンヒルの花は、真っ白。香りもほぼ感じないため、花を鑑賞して楽しむというより徐々にトレイルを作っている葉の様子を楽しむ観葉植物だと言えます。
2. フルミネンシス ホワイトストライプ(Tradescantia fluminensis ’White Stripe’)
ストライプの模様を持つ品種が「フルミネンス」。フルミネンスにもさまざまな種類がありますが、一般的にフルミネンスというとこの黄色と緑のストライプを持つ葉の品種を指します。
3. フルミネンシス ラベンダー (Tradescantia Lavender)
トラディスカンティアを代表する品種がこちら。「フルミネンスライラック」や「ラベンダー」との愛称もあり、葉の班が淡い紫と薄い緑のストライプをしているのが特徴です。
茎は薄緑色で、遠目からも映える非常に華やかな見た目をしいます。ホワイトストライプと比べると、環境の変化に弱く葉の部分が乾燥しやすいのが特徴です。日光が強すぎても弱すぎても弱ってしまうため、慣れるまではこまめに観察してお世話が必要です。
4. アルビフロラ・アルボヴィタッタ (Tradescantia Albiflora Albovittata)
ストライプが幅広く、葉がカールのようにうねるのが「アルビフロラ・アルボヴィタッタ」。繊細な葉の模様が目を引きます。トラディスカンティアの中では成長が遅く、茎がどんどん伸びるタイプではありません。直射日光に弱く葉焼けをしやすいので、室内の明るい場所がおすすめ。
環境に合えば、成長が早く土挿しで簡単に増やすことができます。ホワイトストライプとはまた違った模様と柔らかな緑が映える品種です。茎の色は濃い緑で、グリーンヒルと同じ白い小さな花を咲かせます。
5.フルミネンシス ナヌーク (Tradescantia fluminensis nanouk)
非常に濃いショッピングピンクの色を持つのが「ナヌーク」。葉裏部分が濃いピンク色をしており、トラディスカンティアの中でも目立つ存在です。フルミネンシスの中では茎が太く、その分水分をしっかり蓄えるほぼ多肉植物のような性質を持ちます。茎部分の色は深緑をしています。
元々はオランダで品種改良された種類ですが、北・中央・南アメリカ大陸に広く自生しています。葉の表面は薄いピンクと緑のストライプで、濃いピンクの蕾に白い花が咲きます。水やりのサインですが、葉を触ってみてハリがなくなったら行いましょう。直射日光を避けた明るい太陽光を好み、日照時間が長いとよりピンクが濃くなります。ただし直射日光に当たりすぎるとパリパリと葉焼けしまうので要注意です。一貫して、他のトラディスカンティアに比べると、成長は遅い種類です。
6. ゼブリナ (Tradescantia zebrina)
トラディスカンティアの中でもラベンダーと同じく人気なのがこの「ゼブリナ」。バーガンディーに近い紫に白の班が入った模様が特徴です。茎は白に近い色をしています。
この班入りの紫の葉が次第に伸びてトレイルを作る様子は、見応えがあります。環境に合えば、あっという間に成長する種類です。
花は紫に近いパッションピンク。中央は白色で非常に可憐な見た目をしています。茎の色は明るい緑です。
7. ゼブリナ シルバープラス(Tradescantia zebrina silver plus)
ゼブリナの仲間で、葉の模様が光沢がかったシルバーとバーガンディーなのが「シルバープラス」。ゼブリナの配色がほぼ紫なのに対して、シルバープラスはシルバーに紫の模様が入っている柔らかい配色を持ちます。比較的葉が大きく厚みがあり、乾燥に強いのが特徴。葉の質感はナヌークに似た多肉質で、茎は薄緑で節の部分に紫が入った色を持ちます。株分けをしてもらって裏庭で育てているのですが、まだ花が咲いたことがないので、花が咲いた時点で色を報告したいと思います。
8. パリダ・パープルハート (Tradescantia pallida purple heart)
茎と葉色ともに紫なのが「パープルハート」。別名パリダという呼び方もあります。日本ではムラサキゴデンという名前が流通しているよう。特徴は細長い班なしの濃い紫の葉と同色の茎です。
花はゼブリナと同じパッションピンクですが、中央まで同色です。遠くからでも目立つ茎まで濃い紫がトレイルを作る様子は圧巻です。葉自体は多肉質で、カリフォルニアであれば屋外でも問題無く成長します。
9. ムラサキオモト バリエガータ(Tradescantia Tradescantia Spathacea )
他のトラディスカンティアとはちょっと違った見た目をしているのがムラサキオモト。茎部分が太く、枝分かれしないのが特徴です。縁の部分がピンクで、非常に綺麗な見た目をしていますが、残念ならがら筆者の株は環境に合わず枯れてしまいました。いずれリベンジしたい種類です。
10. フルミネンシス レインボー (raibow)
トラディスカンティアの中でも稀な種類で、なかなか見かけないのが「レインボー」。名前の通りピンクから濃い緑までさまざまな葉の色を持ち、明るい紫の茎を持ちます。
明るい自然光を好みますが、葉が薄く葉焼けしやすいことからトラティスカンティアの中では結構お世話が難しい品種です。成長も遅めで、ゆっくりと茎を伸ばします。まだ開花していないので花の色はわかりません。
11. フルミネンシス・トライカラー(Tradescantia Tricolor)
レインボーとほぼ同じで、全体的に葉の部分に薄い黄色がなく薄いピンクなのが、「トライカラー」。こちらも葉が薄く、日光が強すぎると葉がパリパリに乾燥してしまいます。他のトラディスカンティアに比べると湿度が高い場所を好む傾向にあります。
環境に慣れるまで時間がかかり、成長が遅いのも特徴。葉の模様はピンクと緑、黄色が交わりパステルカラーのグラデーションという華やかさを持ちます。茎の色はレインボーと同じく薄紫で、花の色は未定です。筆者のトライカラーは、2022年7月に購入して以来不安定な状態でしたが、やっと落ち着いてきた段階です。
12. シラモンタナ(Tradescantia sillamontana)
薄緑の茎と葉色を持つのが「シラモンタナ」。この種類は葉に模様がない代わりに、まるでベルベットのようなふわふわした白毛を持つのが特徴です。葉はナヌークほど分厚くありませんが、多肉質なので乾燥で葉がパリパリになることはありません。筆者の場合は、室内より裏庭の方が環境に合うようで、朝だけ日光が当たる条件で順応しています。
葉の表面は触るとふんわりとしており、他のトラディスカンティアと全く違った質感です。茎の色は葉の色と同色で、花の色は明るいピンクです。
13. ゼブリナ・エバネス (Tradescantia zebrina ‘Evanesce’)
ゼブリナの勾配種で、葉の中心が濃い紫を持つ「ゼブリナ・エバネス」。ゼブリナとほぼ同じ要領で栽培が可能です。比較的成長が早く、増やすのも簡単。。シルバープラスと比べると葉の大きさは小さめで、シルバー部分は少なめとなります。まだ開花していないので、花の様子はわかりません。
14. アルビフロラ’ピンク・クローン’ (Tradescantia Albiflora ‘Pink Clone’)
アルビフロラ・アルボヴィタッタのピンクバージョンが「アルビフロラ・’ピンク・クローン’ 」。ストライプが幅広く、茎が太くうねりがあるのが特徴です。茎の色にピンクが混じらず緑色なのが、ラベンダーとナヌークとの大きな違いとなります。原産地不明の白花の交配種で構成されるトラデスカンティア・コンチネンタルグループの品種とされています。
薄いピンクと緑のストライプは、ラベンダーと似ていますが葉の質感はより多肉質です。比較的新しい品種なので、まだ情報が少ないのですが個人的には土挿しで増やすのが難しい品種だと感じます。新たな情報が分かり次第、追加予定。
追加情報 2024年春
こちらが2024年春の様子。春になってはじめて花が咲きました。チューリップのような形状の白い花でアルビフロラ・アルボヴィタッタとほぼ同じです。葉の模様ですが、冬の間日照時間が少なかったのが、なんとなくピンク色が褪せているような感じもします。
15. ブラッシングブライド(Tradescantia Blushing Bride)
コミュニティー・ガーデン仲間にお裾分けしてもらったのが、「ブラッシングブライド」。トラディスカンティアとアンダーソニアナの勾配種で、パープルハートのように茎の部分が太いのが特徴です。この品種も土挿しで増やすのが難しいため、水挿しがおすすめ。
追加情報2024年春
最初は、先祖返りを起こして濃緑の状態だった株ですが、数ヶ月するとピンク色が出てきて2024年春の段階では良いバランスで育っています。
16. ゼブリナ・レッドジェム(Tradescantia zebrina Red Gem)
同じくゼブリナの品種で、葉の色が鮮やかな紫を持つのが「レッドジェム」です。まさに赤い宝石のように鮮やかな色合いを持ちます。ゼブリナが濃い紫なら、こちらは鮮やかな赤で、茎の色も葉と同じ色。葉の質感はゼブリナと全く同じで、比較的簡単に育てることができます。花が咲いたら、再度アップデート予定です。
最後に
観葉植物として人気のトラディスカンティア16種類の種類や特徴をご紹介しました。一貫して環境に合えば成長が早く、水挿しでも土挿しでも比較的安定して増やせるのが大きな魅力です。ホームセンターや園芸店でもよく見かける種類なので、初心者さんにぜひおすすめです。