7月の独立記念日の連休にメキシコシティを訪れた筆者、今回の旅でメキシコの先住民が行っていたテマスカルと言うスピリチュアルな儀式に参加をしたので、こちらをレポートします。
テマスカルとは?
テマスカルは、マヤ、アステカ、トルテカなど、中央アメリカや北アメリカの古代文明で行われていた先祖伝来のシャーマンの儀式を指します。参加者は伝統的なスウェット・ロッジ(ドーム型の石窯)に座り、この中でセレモニーを受けます。儀式は通常2時間以上続き、シャーマンまたはテマズカレロと呼ばれるスピリチュアル・リーダーが指導するのが一般的です。目的は、ストレス、痛み、怪我を和らげ、皮膚病や呼吸器病を治す治療的ヒーリングであり、出産の際にも用いられるとされます。
エアビーで予約したテマスカル体験
今回この儀式に参加しようと思い立ったのが、5月にメキシコシティーを訪れた友人の勧めとなります。彼曰く、メキシコ特有の文化の体験と同時にサウナでのデトックス経験できてすごく良かったとのこと。スピリチュアル好きなので、気になって予約してみました。お値段はひとりUSD106。時間は4時半集合、9時半解散とほぼ半日がかりのツアーとなります。予約を完了すると、その日に集合する場所が知らされ、そこからミニバンに乗って30分ほどの距離にある実際の場所に移動します。ツアー集合時点で今回の参加者は9人とまず対面します。全員アメリカからの旅行者で、3人が30代前半の1人旅、1組は親子で参加、残りはカップルの参加と言う内訳となりました。
儀式の主な流れ
それではここからは、筆者が実際に体験したテマスカルの儀式の流れをざっと説明します。到着したら実際に石窯のある場所に移動した後、水着に着替えて石窯に集合します。石窯にカメラは時計は持ち込めないので、実際の撮影はここまでになります。
石窯に入るまで
まずは石窯に入る前に、今回のセレモニーのシャーマンを務めるルイスからセージなどのハーブを焚いたお香で全身を清めてもらいます。石窯の中は左回りでぐるりと廻り、自分が好きだと感じた場所に座るように指示されます。ただし、今回のツアーは9人の参加者で、かなりギチギチになり後半になると順に詰めていくような要領となりました。中はドーム型となっており、全長約4メートルほどで立つと頭を打つ低さです。真ん中に丸いレンガでできた穴があり、床は簡易なゴザがひかれた状態の非常に質素な作りです。
オリエンテーション
中に入って全員が輪になって体育座りをすると、いよいよ儀式を行うルイスからテマスカルの歴史と儀式についての簡単な説明があります。テマスカルは3000年以上も前から伝わるメキシコ独自の文化で発祥はいまだに分からないとのこと。古代文明では、赤ちゃんを産むときやデトックスの儀式に使われていたのだそう。
ここからは儀式の間の注意点として、真ん中の穴部分に焼石を置くので絶対触らないこと、トイレや休憩をしたい場合はその旨を申請すれば好きな時に退出できることなどを教えてもらいます。また儀式は4部構成となり、その都度焼けた石が追加されます。
第1部
まず石窯の入り口に厚い布が覆われ、真っ暗になった状態で儀式が始まります。焼き石が石窯の中に入った時点でどんどんと温度が上昇し、ルイスがそこに水をかけ蒸気で石窯の中がいっぱいになります。正直、この時点が一番ナーバスになる瞬間で、真っ暗な中どんどん気温が上がっていく状態があまりに怖くて「いや、無理」と退出しようかと考えていたら、これから火の精霊に自分が燃やしたいこと、無くしたいをそれぞれ言うように指示されます。反時計回りでそれぞれ自分の中から解放したいと思っていることを言い合っているうちに徐々にこの不快な空間に慣れてきます。
おそらく真っ暗な中というのもあり、みんなそれぞれ本当の真実を打ち明けるような雰囲気が出てきます。第1部ではアロエの葉が手渡され、身体中に塗るように指示されます。徐々に石窯の中の温度が下がってくると、ルイスが新たな焼き石を運び込み、第二部が始まります。
第2部
ルイスが焼き石を運ぶ間、外の冷たい空気が中に入ってきて、ちょっとだけリフレッシュできます。第2部は水の精霊との対面となります。まずはちみつが入った容器が回され、自分が好きな箇所に塗るように指示されます。それが終わると、ルイスが、「もし川辺で自分を象徴する動物を見かけとしたら何?」と言う質問を投げかけ、その後に「それについてどう感じるか」、「自分の今の生活はどのようなものか」と言う質問をされ、ルイスからのアドバイスをもらいます。そうこうしているうちに、第二部が終わります。
第3部
第3部は風の精霊がテーマになっており、まずオレンジスライスをもらってそれを食べるように指示されます。もう数時間もサウナで汗を大量にかいている状態なので、その一切れのオレンジがかなり美味しく感じます。「自分が本当に欲しいものが何なのか」、宇宙にお願いするんだから壮大な願いを言うように言われます。それぞれ自分がなりたい自分や手に入れたいものを言い合って、第3部は終了です。
第4部
新たな焼き石が追加され、第4部はいよいよ地球の精霊(パチャママ)との対面です。ここでは、まずルイスが歌を歌い、言い残したことがある人や、言いたいことがある人がそれぞれ儀式の仲間や精霊に告げたり、お願いをする形で進みます。この4部では、冷水を頭から掛けてもらいます。ここまで来ると、全員それぞれギチギチの状態で石窯の中に寝転び、ただひたすら蒸し暑さを耐える状況になります。床部分は土の上にゴザが一枚轢いてある状態で、座っていても寝ていてもかなりの窮屈さです。まさに究極のアーシングだと感じていると、儀式が終了となりそれぞれ石窯の外に出て水のシャワーを浴びて終了です。
儀式が終わって感じたこと
儀式が終わると、それぞれ着替えを済ませ集合スポットまで車で送迎してもらいツアーは終了です。集合時間が4時半で、5時手前に出発し、儀式開始が6時あたり、ドロップオフが8時半だったのでおそらく儀式自体は2時間もなかったと感じます。ただ通常サウナに2時間も入ることがないため、かなり長く感じました。儀式自体は終わってみるとただ苦しい印象でしたが、自分の中に解き放ちたいものがある時などは、良いデトックスになるのでは、と感じます。もう一回やってみたい?と言われると「よく分からない」としか言えませんが、人生に行き詰まりを感じている人や日頃スピリチュアルな修行を行っていない人などには効果があるのでは、と感じます。
最後に
今回メキシコシティで体験したテマスカル儀式についてレポートしました。ただサウナに入るだけでなく、自分の内側と向き合う機会を与えられる儀式は、一度体験してみるには良いかと感じます。筆者が参加したツアーは最小限の英語力が必要となりますが、気になる方はこちらから申し込みが可能です。