2024年6月、アメリカの病院で人生初のコロノスコピーの検診を行いました。筆者が実際に経験した流れを食事を含めた準備編と当日編の2部に分けてご紹介します。
コロノスコピー検査を受けるまでの経緯
今回コロノスコピーを受けるきっかけになったのが、毎年行われる大腸癌用の便検査にあります。こちらは毎年医療機関から送られてくるもので、自宅で検査キットを受け取り郵送する形が取られています。毎年陰性だったのに、今回初めて陽性反応が出て、追加検診としてコロノスコピーを受けるように指示されました。
ちなみにナースには、「おそらく何かの間違いだろうから、もう一回便検査を受けたい」と申し出ましたが、「陽性反応は毎回出ない場合もあるので、念のために受けた方が良い」と言われ、全く予備知識のないコロノスコピー検査というものを受ける運びとなりました。
予約
まずコロノスコピー検査のステップは、消化器内科に連絡を入れ、担当ナースと予約の確定を行います。筆者の場合、電話した際に5日後の日程が空いていたためこちらを選択しました。まず予約の日程に関してですが、検査を行う日は何もできないため、術後に予定がある日は避けること、また全身麻酔になるため家族などの迎えをアレンジできる日を選ぶように指示されます。予約の手続きと同時に、3種類の薬の処方箋も手配されます。
処方箋の受け取り
今回処方されたのが、3種類の薬で、予約した当日に薬局での受け取りができました。ちなみに、筆者に手配された薬は以下の通りになります。薬代ですが、保険が効いたため約5.5ドルの個人負担でした。
- PEG 3350(通称Gavilyte, もしくはColyte)
- ビサコジル(ダルコラックス)5mg錠(2錠)
- シメチコン錠(Gas-X)80mg(4錠)
説明書を読むとどれも2日前から使用する薬のようです。PEG 3350は半ガロン容器の中に入れられたパウダー状のもの、この中に水を加えて使用します。とりあえず予約と処方箋が手配できたら、前準備は完了です。
3日前「ローファイバー食事に切り替え」
3日前から朝からローファイバーダイエットに切り替えます。このローファイバーとは食物繊維を摂らない食事法のこと。おそらくこの記事を見て、準備を行う方もおられるため、今回指示されたリストを以下に紹介します。
ローファイバーダイエットの具体例
乳製品
食べて良いもの
- ミルク
- クリーム
- ホットチョコレート,
- バターミルク
- チーズ(カッテージチーズを含む)
- ヨーグルト
- サワークリーム
避ける食材
ヨーグルトに混ぜてはいけない食材は以下:
- ナッツ、種、グラノーラ
- 皮や種のある果物(ベリー類など)
穀物
- 食べて良いもの
- 精製された白い小麦粉を使ったパンや穀物(ロールパン、マフィン、ベーグル、パスタを含む)
- 白米
- ソルティンのようなプレーンクラッカー
- 低繊維シリアル(パフライス、小麦クリーム、コーンフレークなど)
- 避ける食材
- 玄米またはワイルドライス
- 全粒粉のパン、ロールパン、パスタ、クラッカー
- 全粒穀物または食物繊維の多いシリアル(グラノーラ、レーズンブラン、オートミールを含む)
- ナッツや種子入りのパンやシリアル
肉類
- 食べて良いもの
- チキン
- 七面鳥
- ラム肉
- 豚赤身肉
- 仔牛肉
- 魚介類
- 卵
- 豆腐
- 避ける食材
- 肉質が硬いもの
豆類
- 食べて良いもの
- 無し
- 避ける食材
- 乾燥エンドウ豆(スプリット豆、黒目豆を含む)
- 乾燥豆(キドニー、ピント、ガルバンゾ、ひよこ豆を含む)
- レンズ豆
- その他の豆類
フルーツ
- 食べて良いもの
- 果肉なしフルーツジュース
- アップルソース
- 熟したカンタロープとハニーデュー(メロンの種類)
- 熟して皮をむいたアンズと桃
- 種や皮のない缶詰または調理済みの果物
- 避ける食材
- 種、皮、果皮、ドライフルーツは不可:
- 種、皮、膜のある生の果物(ベリー類、パイナップル、リンゴ、オレンジ、スイカを含む)
- 種や皮のある調理済みまたは缶詰の果物
- レーズンなどのドライフルーツ
野菜類
- 食べて良いもの
- 缶詰または調理済みの野菜で、皮や皮がついていないもの(皮をむいたニンジン、マッシュルーム、カブ、アスパラガスの先端を含む)
- 皮なしのジャガイモ
- 種や皮のないキュウリ
- 避ける食材
- 生、皮、種、皮、その他特定の野菜は不可:
- トウモロコシ
- 皮付きジャガイモ
- トマト
- 種と皮付きのキュウリ
- 茹でたキャベツまたは芽キャベツ
- グリーンピース
- 夏と冬のカボチャ
- ライ豆
- 玉ねぎ
ナッツ、ナッツバター、シード類
- 食べて良いもの
- クリーミーな(なめらかな)ピーナッツバターまたはアーモンドバター
- 避ける食材
- ピーナッツ、アーモンド、クルミなどのナッツ類
- チャンキーなナッツバター
- ウイキョウ、ゴマ、カボチャ、ヒマワリなどの種子類
油脂
- 食べて良いもの
- バター
- マーガリン
- 植物油脂
- マヨネーズ
- 種やナッツを使わないサラダドレッシング
- 避ける食材
- 種やナッツを使ったドレッシング
スープ類
- 食べて良いもの
- ブロス、ブイヨン、コンソメ、濾したスープ
- 牛乳またはクリームベースのスープ(濾したもの)
- 避ける食材
- 濾していないスープ
- チリ
- レンズ豆のスープ
- 乾燥豆のスープ
- コーンスープ
- エンドウ豆のスープ
デザート
- 食べて良いもの
- カスタード
- プリン
- アイスクリーム
- シャーベット
- 果物や赤や紫の色素を加えていないゼリーやゼラチン
- 種、ドライフルーツ、ナッツを加えず、精製した白小麦粉のクッキーやケーキ
- 避ける食材
- ココナッツ
- 種やナッツの入ったもの
- 赤や紫の色素を加えたもの
- 全粒粉、種子、ドライフルーツ、ナッツを使ったクッキーやケーキ
飲み物
- 食べて良いもの
- コーヒー
- 紅茶
- ホットチョコレートまたはココア
- 透明なフルーツ飲料(果肉入りでないもの)
- ソーダなどの炭酸飲料
- エンシュア、ブースト、エンライブ(食物繊維無添加のもの
- 避ける食材
- 果肉入り果物または野菜ジュース
- 赤や紫の色素を含む飲料
その他
- 食べて良いもの
- 砂糖
- 塩
- ゼリー
- 蜂蜜
- シロップ
- レモンジュース
- 避ける食材
- ココナッツ
- ポップコーン
- ジャム
- マーマレード
- レリッシュ
- ピクルス
- オリーブ
- 石臼挽きマスタード
なんだか不健康で普段避けている食材がラインナップしています。野菜が嫌いな子どもが喜びそうなメニューが実現しそうです。
まず朝は白米を炊き、こし味噌と豆腐のみを使ったお味噌汁をいただきました。普段はグルコーススパイクを防ぐために、食前に必ず茹でブロッコリーを食べるのですが、今回はこちらもいただけません。炭水化物なので、血糖値が上昇しそうです。昼は白米とチキンスープにきゅうり、夜も同じくチキンスープとパン、そしてサイドにきゅうりをいただきます。野菜をいただけないのが辛いですが、きゅうりが良い仕事をしてくれました。
2日前「ローファイバー食事を継続」
この日も同じくローファイバーダイエットを継続します。明日は一日食べられるものが限られるため、前準備としてゼラチンパウダーにマンゴジュースを加え、こちらを冷やし固めておきます。この日は朝にトーストとフレンチクリームにきゅうりをのせたものにアップルソース、昼にトレジョの冷凍ウォルナッツシュリンプのウォルナッツ抜きに白米ときゅうり、夜もその残りをいただきました。きゅうりがあるため、なんだか乗り切れた感じです。この二日間でかなりのきゅうりを消費しました。
1日前「クリア液体のみ摂取」
最終日・検査の前日は、食べられるものがブロスやジュースなどの透き通った液体に制限されます。以下がクリア液体の具体例です。
クリア液体ダイエット
食べてOKなもの
- 水
- ミルク、クリームの入っていないストレートティー、ブラックコーヒー
- 赤や紫の色素を含まないフレーバーウォーター
- リンゴ、白ブドウ、果肉なしのレモネード、白クランベリーなど、透明で淡い色のジュース
- チキン、ビーフ、野菜などの透明なスープ
- 炭酸飲料
- ゲータレードやプロペルなどのスポーツドリンク(淡色のみ)
- フルーツやクリームの入っていないアイスキャンディー。
- ジェロ-Oなどのゼラチンで果肉なしのもの。
- ブーストブリーズ・トロピカルジュース飲料
NGな食材
- アルコール飲料
- 牛乳
- スムージー
- ミルクシェイク
- クリーム
- オレンジジュース
- グレープフルーツジュース
- トマトジュース
- スープ(透明なスープ以外)
- 調理済みシリアル
- 赤や紫の色素を含むジュース、アイスキャンディー、ゼラチン
アメリカの定番おやつJello-Oは黄色と緑がOKだったので、前日仕込んでおいたグアバジュース味の自家製ジェロとチキンスープがメインとなります。
まず起きると前日の食生活が良くなかったためか、あまり空腹を感じませんでした。ただし1時間ごとに8ozの水分を補給するということなので、お湯を飲み、10時あたりに朝ごはんとして前日作っておいたチキンブロス、それと自家製ジェロをいただきました。コーヒーはなぜか飲みたくなかったため、この日はスキップ。この日は自家製スープとジェロを空腹を感じた段階でいただきました。自家製スープはチキンドラム、にんにく、セロリ、生姜を大きく切って、圧力鍋で加熱料理したもの。具材を濾して、スープのみをいただきます。
処方箋の服用
午後4時からいよいよ薬の服用が始まります。まず4時にビサコジルを2錠服用します。ビサコジルとは調べてみると刺激性下剤で、腸の動きを活発にして、便が出るのを助ける作用があるとのこと。ちなみにこの二日間による食物繊維不足で、この日は腸の働きが悪く、朝からトイレに行けていない状態でした。ただし、こちらを服用しても全くトイレに行きたい感じにはなりませんでした。 服用して1時間半、変化はありませんが、なぜか空腹を感じなくなりました。
6時から、ガビライトを飲み始めます。ガビライトは下剤で、大量の水を結腸内に取り込むことで効果を発揮するのだそう。この作用により、水のような便意を催し腸内の便をきれいにする役割があると書かれています。まず、プラスチックのジャグに水をラインまで注ぎ、溶けるまで混ぜます。全部溶けたら、まずコップ一杯分(8oz)飲みます。これを15分ごとに8回繰り返します。水溶液は透明で、味は人工的なレモネード。飲みにくさは特にありません。ただ3杯目あたりから徐々に飲むのが嫌になります。3杯飲み切った時点では、便意も尿意も感じません。
ちなみに飲み出したら、すぐにトイレに行きたくなる、と思っていましたが特にそうでもなく15分のスパンでどんどん飲んでいきます。6杯目の時点で、吐き気がして来ました。ここで吐いたら元も子もないと感じつつ、残り2杯に挑みます。ビサコジルが効かない体質なのかも?…と心配になってきたところで、7杯目で遂に一回めのリリース、8杯目を飲み終わった直後から、まさに水の状態になりどんどんリリースする状態に変化します。しかもいきなりトイレに行きたくなり、我慢できるようなレベルではなく出てくるので、トイレの近くにいると安全です。疲れのピークはこの時点です。
8杯飲み終わった時点から、5回ぐらいトイレに行きます。色はどんどん蛍光黄色のような色に変化し、透明になってきます。この日は疲れ果てて、午後9時半ごろに就寝しました。翌日は4時起きで、残りのガビライトを同量飲む必要があります。
最後に
アメリカでコロノスコピーを受けるに当たっての準備編、特に食事に関してレポートしました。翌日はいよいよ病院で検査を受けます。興味のある方はぜひ、続けて読んでみてください。